更年期障害の治療法、ホルモン注射
更年期障害とホルモン
ホルモンとは私たちの身体の中で合成・分泌され、身体の機能を維持するために働く化学物質のことです。
このホルモンが身体の中を循環し、特定の器官に脳からの命令を伝達します。このホルモンの分泌量を適時調整することで、身体のホメオスタシスが保たれています。
ホルモンにはさまざまな種類がありますが、その中でも肉体の男性らしさ・女性らしさに関わるのが男性ホルモン、女性ホルモンといった性ホルモンです。性ホルモンは生殖作用を司っているので年齢を重ねると分泌量が減っていきます。
更年期障害はこの性ホルモンの分泌の減少により引き起こされるものです。閉経前後の女性に更年期障害が出やすいのは、閉経を境に女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急降下してしまうためです。
男性ホルモンにくらべるとその変動が激しいために、身体が対応しきれなくなってしまうことが多いのです。
ホルモン注射の目的と効果
ホルモンは身体を一定の状態に維持する機能を持っているため、その指令系統に不具合が生じることは身体にとって不愉快な事態を招きます。
性ホルモンの場合は神経系との関係が深いので、自律神経失調症の症状が出てしまいます。肉体面だけでなく精神面にも影響が出ることも少なくありません。
しかし、これらの症状はすべてホルモンの減少に伴うものです。減少分を外部から補い、ホルモンバランスを整えれば症状を和らげることができます。
そのため病院では、治療としてホルモン注射などのホルモン補充療法を行っています。特に注射は即効性がある分、強い症状を抑えるのに有効です。
ホルモン注射を受ける際の注意点
しかしホルモン注射にも副作用やリスクがあります。
まず生殖器のがんを悪化させる可能性があることです。
そのため乳がんや前立腺がんといったがんの既往歴がある場合、ホルモン注射を受けることはできません。また他の疾患を発症する可能性を上げることもあります。
たとえば女性の場合では、エストロゲンが子宮内膜の増殖と関係しているのでエストロゲン単剤だと子宮体がんのリスクを上げてしまいます。
そのため子宮がある女性ではプロゲステロン剤などを併用するのが一般的です。
それに伴い、生理のような不正出血が見られることがあります。そのほか、副作用としてめまいや体重増加などが起こることもあります。
ホルモン注射を含むホルモン治療は効果が出るのが早い分、身体に負担をかけてしまうことがあります。
そのことを踏まえた上で、治療に当たっては医師とよく相談するようにしましょう。医師によっては、漢方薬やサプリメントの処方で対応してくれることもあります。